槍平では多くの人が休んでいた。
あまりの暑さにビールを購入。疲れても困るので二人で分けて一口ずつ。
今晩用にも1人1本ずつ購入しザックに詰めた。
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今日は山の日、登山者は多い。みんな槍ヶ岳を目指して登ってゆく。
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飛騨沢分岐の手前で振り返ると笠ヶ岳が遠くなった。
飛騨沢分岐。
最近あまり歩いていないTさんが急に遅れ気味になった。
千丈乗越が見える
距離は短いが急登で西鎌尾根の千丈乗越へ。
今日の登りはここまで、あとは下るだけだ。
槍ヶ岳
振り返れば穂高も遠くなった
目指す硫黄岳が不気味な色彩と姿で正面に待っている。
北鎌尾根と硫黄尾根の間を深く削る千丈沢。
下る前に暫く谷から吹き上げてくる気持ちよい風を受けて休憩。
休んでいた方たちは皆んな西鎌尾根を槍ヶ岳へ登っていった。
道の無いザレた急斜面を下ってゆくのは二人だけ。
足もとの岩の間に咲いていたトウヤクリンドウが癒しをくれる
槍の穂先が離れてゆく(六ノ沢2150mから)
2100mまで下ると北鎌尾根の全景が目に入る
大きな画像に拡大します。
予定では硫黄の取付点までだったが、ここまでが限度か?
疲れもあり四ノ沢との出合ではしっかりした水の流れも現れたのでテントを張った。
夕食を終え、オレンジに染まる北鎌尾根を眺めていると8年前に自分たちが登った時の事を懐かしく思い出していた。
今日のような天気を期待していたのに、雷雨だったことは絶対に忘れることはない。
あの稜線から人の声がした。好天の今夜はあそこで泊まるのだろう。いいな~。
暗闇になり、北鎌尾根に灯りがチラチラ動くのが見えた。
夜、テントの外は満点の星だった。
【 2日目 8月12日 】
朝だ、テントを置いて出発。
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ここから下流はずっと水の流れがある。
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右へ左へ、歩きやすい左岸を中心に下る
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千丈沢で唯一出会った方がNETでは時々参考にさせてもらっているHP「等高線の狭間から」さんだった。中山沢から赤岳に登られての帰り道でした。(山と名が付けば、道が有る無しに拘わらず何処でも踏破するスタイルを貫いている方です。この日の山行記録)
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今年は水が少ないのだろう。
多少ヤブを越すところもあったが、殆ど高巻きも無く下る。
テントから約4kmで硫黄岳の取付きらしきところまで下った。
この200m下流が取付点、標高は約1680m。
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硫黄岳取付。
いきなり藪ヤブの急登になった。笹や雑木を掴んで身体を引き上げる。
何処まで続くのだろう? 山頂までの標高差は860mあるが・・・・・・
両手を使う藪は容赦なく続いた。ちょっとした岩場が出ると、藪から開放されて嬉しくなるほどだ。
カメラを構える余裕など殆ど無い傾斜が続いた。
もっとも見えるところは藪ばかりなのだ。
2200m付近、展望できる場所に着く。向こうの山は燕岳
2200m付近から
天狗の腰掛、独漂、槍ヶ岳と縦に並んだ北鎌尾根。千丈乗越から千丈沢へ下ってきた谷も右に見える。
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時間の経過は早い。もし山頂に着いたとしてもテントに戻れる時間の余裕はなくなってきていた。
山頂が近づき、急斜面にはハイマツ、シャクナゲ、笹の猛烈な藪。
あの向こうに山頂らしき頂が見えていたが、そのとき腕が攣りだした。
攣りが治まるまで待っている時間の余裕はない。取りあえずハイマツの藪にしゃがみ込んで特効薬を飲んだ。
自分は、もう撤退しか無いだろう。
そうしている内にTさんが追いついて来た。
もう少し進みたいらしく、リミットを決めて行ってもらい、自分は涼しい落ち着ける所まで下って待つ事にした。
待つ事2時間半、体力を使い果たしたような雰囲気でTさんは登頂を済ませて、私が待っているところまで下ってきた。
最低限、明るい内に取付点の沢まで下ってビバークする方法しか選択肢はない。
2人とも予備食と非常食は持っている。寒いけど一人用のツエルトで2人寝る事にしよう。
こんなに登ったのかと思うほどの急斜面。笹薮は両手使いで、アイゼンを付けてバックで下る。
17時40分、何とか沢まで下りホッとした。
Tさんは疲れがピークだったのだろう、30分くらいは放心状態。
Tさんはその後、食事を済ませて、寒さを感じることも無く、ぐっすり朝まで寝たようだが、私は23時ごろ寒くなって目が覚める。
そのあと寝ることも出来ず、焚き火で朝まで過ごした。
硫黄岳取付のビバーク地点↓
【 3日目 8月13日 】
何事も無かったように朝を迎え、美味しい清水が滴る所を通り、2時間半掛けて四ノ沢出合のベーステントへ戻る。
ここへ戻れば食料は豊富だ。再びエネルギーの補給をしタップリ時間を取った。
既に、予定の新穂高まで戻るのは諦めている。今晩は槍平のテント場でゆっくりしたい。
名残を惜しむ硫黄岳
薄く霞掛かった槍と北鎌
千丈乗越へはの辛い登りだった。
そして花を楽しんで槍平へ下る。
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トリカブト
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ミヤマアキノキリンソウ
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オオレイジンソウ
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ジャコウソウ?
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寛げる槍平のテント場(1人1000円)の高騰にはビックリです。
【 4日目 8月14日 】
下ってきた新穂高温泉。
朝の9時半は静かです。
鍋平まで30分。
相変わらず満車状態の鍋平駐車場。
不完全燃焼の硫黄岳だったが、千丈沢から見上げる北鎌尾根のパノラマは今も目に焼き付いている。
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