No,250 念願の台高縦走でクマを見た

台高山脈中部縦走(明神平〜大台ヶ原)

2000/07/20-7/23  (自分だけの250回目記念山行)


2000/07/20    近鉄榛原駅=バス乗り継ぎ=東吉野大又バス停〜明神平〜明神岳〜笹ヶ峰〜奥ノ迷峰〜少し下った水場で(テント泊)
バス停スタートが10時20分ごろ、チョット遅かったので、誰か車で登山口まで乗せてはくれないかとおもいつつ、歩いても、歩いても車は上がっても来ない。
ようやく登山口近くまで来た。
そこには”登山者通行禁止”の表示とバリケード。
ガーンと出鼻を挫かれた。
が、気を取り直して登っていくと、土石流による崩壊のためなのか?修復工事であった。仮の登山道工事をしているおじさんに訳を話し、快く仮道を教えてもらえたが、いきなりの急登である。
一旦登りきり、そして下った所が、いつもならば、直ぐに辿りつく”旧あしび山荘”の手前だった。
明神平へ着く前にお昼を廻ってしまっていた。

急に雨が降りだしてアズマヤへ・・・
そこには6、7人の方が先に雨宿り。その中の1人から・・・・あの・・もしかして柏原のDOPPOさんでは?・・・と声を掛けられビックリ!
以前、明神平の気象報告をして返メール頂いた千田さんでした。いつも私のHP覗いて頂いているようで、今回の山行待ちうけていただいていた様子だった。

励ましの言葉を頂き、元気が取り戻せ、お会いできてよかった。
”新あしび山荘”建築の現場まで足を運ばれて、現場の方と一緒に仕事をされていて、そのご尽力には敬服する。

30分ほど雨宿りの後スタートするが”笹ヶ峰”付近からまたまた雨、足取りは重くなる。
予定の”池木屋山”は遠く、奥ノ迷峰を下った水場の近くでテントを広げる。
運良くこの時だけ天気は回復していた。・・・・が耳を傾けていたラジオでタイガースの敗戦が濃厚になる頃から、ひどい雨と雷が鳴り響きだし、落ち着けない。

どうせ外は大雨だ、、逃げ場などない、・・・・・居直るしかない。
そのうち寝てしまった様だ。


2000/07/21   〜コクマタ山〜池木屋山〜弥次平峰〜馬の鞍峰(テント泊)
前夜の雷雨など何事も無かったような清清しい朝を迎える。

それでも太陽はガスに隠れ、テントは乾かない。
重い腰を上げ準備に掛かる。

これから向かう”コクマタ山”の姿が正面に見えたのは幸いだった。

  コクマタ山

1日中アップダウンの繰り返しに参った。
地図ではこんなにも起伏が有るとは感じていなかった。

しかし此処まで来れば後へは戻れない。
全く人に出会わない山奥だ、足が止まったところが泊まり場所なのだ。
大切な水は残り少なし。

二度と来ないと思う”弥次平峰”山頂


馬の鞍峰の稜線にてテントを広げる。
2000/07/22   馬の鞍峰〜地池越〜山ノ神の頭〜父ヶ谷の高〜名も無いピークの裏手(テント泊) 正面に大台、大峰の大展望
すがすがしく朝を迎えた。微かに残っている水をたよりに歩き始める。
気持ちは次の水場へと急いでいたが、この日も上り下りの連続。

しばらく歩いている内にウッカリ獣道にはいったようだった。
途中で岩山にぶち当たり無理無理ピークに這いあがり、やっとの思いで息も絶え絶えルートに戻る。

やっと辿りついた地池越でリュックを置き、水場へ急いでくだる、水はそこそこ出ている。
あまりに急いでいた為か、戻る谷を間違えてしまう。
少々不安を感じながらも戻れてホッとした。

ときどき木の間越しに”白髭岳”が見える、
”山の神の頭”を超え次の水場に下りかけると人の声がした。

  白髭岳

久しぶりに人に会った。
四人のパーティは山岳会(寧楽白峰会)の45周年記念山行の方々であった。

結構下った谷で何とか水に有りつく。

この辺りから”大台辻”までがこのルートのヤマバになる所かもしれない。
時折シャクナゲの大きな枝が通行を阻んでいた。
予定通りには歩けず、四人パーティの方と同じ場所でテントを張ることにした。

目の前は大峰、大台の山々が広がる絶好の展望台で大自然の真っ只中。
ここは別天地、最高だ。
疲れた足をゆっくり伸ばせた。



2000/07/23    テント場〜杉又高〜振子辻〜引水サコ〜御座ー〜添谷山〜大台辻〜金明水〜大台ケ原川上辻・・・・・車便乗・・・・大台ケ原駐車場=バス=近鉄大和上市駅
山の朝は早い、スズタケやシャクナゲのブッシュをかきわけながら、四人のパーティより少し早く出発。

しばらく行くと、右の谷でガサガサ、ド・ド・ドと音がする、チョット不安になり、大きな咳払いをしてみた。
・・・すると、いきなり大きな足音でドドド・・・と谷の下へ駆け下りていく姿を見た。
ほんの2〜3秒間のことであるが、まるまるとした70〜80cmくらいの,まだ若いクマであろう。
山歩きをはじめて、一度は見てみたいと思っていたことが、とうとう現実のものとなり、嬉しさと怖さで胸は高鳴っていた。

 ”振子辻” の手前でルートを間違えてバックしてきたところで、あとから出発された四人のパーティの方と出会う。ここからはご一緒させてもらう事にした。

”引水サコ”を越え、岩場の急登を過ぎると”御座ー”の大展望台。
ここからは眼前に大台の山々がせまり、遠く大峰が望める。
汗のTシャツの上から遠慮なしに、真夏の太陽が照り付ける。
強烈な暑さだ。

添谷山を越え、4日間通ってきた原生林の中、余韻を味わいながら、遂に大台辻へ到着した。

  

 ここでは”寧楽白峰会”の4人パーティのサポート隊の方々のお出迎えがあり、私も一緒に歓迎してもらった。
冷たいビールに、メロンまで頂き、踏破の喜びと共に天国の気分だった。

しばらく休憩の後は2時間ばかりのハイキングコースだ。
途中ではこの山行を振り返りながら”金明水”でおいしい水をたっぷり飲み、やがて川上辻に着いた。

希望と不安を抱えながらの縦走を終えて、4日間を振り返りながらバスに揺られる。

「あ〜〜〜しんどかった」
これが実感。

そして後日、大きな充実感を味わえた。

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