一年越しで念願のコースへようやく 挑戦する機会が出来た。
同行は気心の知れているどんかっちょ!(DON)さん、郭公さん(K)で申し分ないパーティ。
情報の極端に少ない山域故、入念な下調べは終わり、好天を待つばかりとなっていた。
しかし生憎前前日での天気予報は雨。中止を決めていたものの、前日より予報が好転し急遽決行することにした。
【1日目】
朝6時45分、近鉄八木駅で待ち合わせ、二台の車で桜井からR166号を東へ走る。空はまだ黒い雲に覆われていた。
高見トンネルを越え三重県に入ると空の色はころっと変わり薄明かるい日差しが射している。
いつもながら此処が天気の分かれ目になっているようだ。奥香肌温泉の駐車場に一台デポし、もう一台で宮の谷の林道終点まで入る。
しかし流石に山間に入ると雲り空に覆われている。
登山道に入るといきなり整備された細かい砂利道で歩きやすい。鉄の階段や、コンクリートで固められた岩の階段もあり、
以前のように沢を渡渉する所など全くなく、遊歩道と化している。高滝の手前には小屋のような建物まで出来ている。
高滝手前の小屋 |
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高滝 |
朝までの雨で沢の水かさは増え、滝の音も随分大きく、雨上がりの新緑と相まって素晴らしい景観だ。
滝の写真を撮りながら高巻の前に沢を渡るルートを探る。
「こっちがいい」、「あっちがいい」など言いながらKさんが下調べに岩を飛んだ拍子にタバコを流してしまった、オマケにライターまでも。
愛煙家には辛い事になったが、私の持ち合わせが二箱あるので何とかはなる、銘柄は違うが辛抱して頂くしかない。
今度はDONさんまでもダブルストックの一本を流してしまったのは痛かった。
何とか皆んな靴を濡らしながらも沢を渡る。危ない高巻の道も、雨の後で土がよく絞まって程よい感じになっている。
足元にヤマヒルがニョキニョキとうごめいて靴やスパッツにしがみ付く、後ろから其の都度DONさんに見つけてもらい、何とか凌げた。
高巻が終わると沢を3回渡り返して奥の出合に着く。此処からの急登を前に一休みと水の補給をする。
追いついて来た中年4人組登山者の中のオバサンの大きな声、「キ〜〜首にヒルが〜〜」と言って叫んでいます。
汗掻いた首に手を廻して気がついたようですが、自分で払い落としていた。
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奥の出合で |
木の根っこの多い急登が始まり、終わりかけたシャクナゲやアカヤシオの花がちらほら、殆どは散ってしまっている。
余りにも厳しい登りに3回程の休憩を入れる。笹とブナの新緑に覆われた池木屋山頂に着いたのは午後1時半ごろ、
遅くなってしまった昼食を摂り、東尾根の入り口を確認する。
東尾根はなだらかなブナ林の尾根が続き、快適だがガスが出てきて、ドンヨリした空に変ってきたので一応雨具を着ける。
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ヤマツツジ |
ヤマツツジ |
うっかり紛らわしい支稜に入りやすいところもありコンパスで確認。
僅かな上り下りを繰り返し、直角に北に方向を変えグ〜ンと下りきった鞍部が水越。
此処からが今日のハイライトだ、地図には岩稜と書いてある。今回は念のためにロープも用意しているので幾分かは安心できる。
あまりハッキリしない踏み後とテープを頼りに登ってゆく。
約200mの急登の最後が岩場になる。落石に気を付けながら慎重に登る。
もしも逆コースだったら嫌な岩場であるが、登りなのでまだ良かったかもしれない。
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野江股の頭にて |
野江股の頭へ到着するとメールが受信出来た。ひがやんさんから「雨模様になるかも知れませんよ」との忠告である。
なんとも良いタイミング、正にそんな天気でポツポツ降ってきた様な雰囲気だ。
でも此処までくれば大丈夫、テントを張るまで何とか持ちこたえて欲しい。
先週、水をデポした幕営地までは、濡れる事もなく辿り着けた。
2張りのテントで、僕はDONさんと、Kさんは一人で寝ることにしようという事にし、Kさんのテントに集まり持ち合わせたアルコールで乾杯。
飲みだしたら止まらない、話も尽きない、気がつけば10時ごろ。
外には星が一つ二つ見えてきた。翌朝の天気を願ってシュラフにもぐり込む。
【2日目】
夜中に一度起きた時、となりのテントで熊の様な鼾がギアーチェンジしながら静かな山に響いていたが、知らぬ間にまた寝ていた。
4時半に目が覚める。東の山際には、まだ昇っていない太陽の光が空をオレンジ色に染めて実に幻想的な朝を迎える。
昨日残したおにぎりを朝食にする。残りの水を3等分にして配給し、テントの撤収。
6時出発。
縦走路へ引き返し白倉山へ向かう。昨日とは打って変わって展望が良い。相変わらずのブナの新緑が眩しい。
南の急斜面にはヤマツツジが多く鮮やかさが際立っている。まだ早いと思っていたシロヤシオも時折目を和ませてくれる。
DONさんは写真撮影が忙しく少々遅れがちなる。
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野江股の頭を振り返る |
古ヶ丸山 |
二つのピークを超えブッシュを避けて右に登って白倉山に着いた。南側の展望が良い。東にはにドカンと大きく迷岳がみえ、
南に遠くウグイ谷高なのだろうか、後ろの山と重なって双耳峰のようにもみえる。何故だか、この山頂には赤い郵便受けが掛けてある。
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シロヤシオ |
白倉山にて |
記念写真を撮り北に下る。岩のピークをトラバースして鞍部まで下る。
登りきると大熊谷の頭であるが、この150m程の急坂が結構厳しいのである。
アヘアヘで辿り着いた大熊谷の頭からは目前に迷岳が迫る。
此処から迷岳への広いゆったりした尾根道は地図に載っているようなブッシュなどは無く、のんびりとブナ林を歩くには最高の場所である。
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ブナ林を行く |
バイケイソウの道 |
思っていたより速く迷岳に到着すると、犬を連れたおじさんが一人だけ。
おじさんとしゃべりながら座りかけたところに尾根道から女性が二人。来る事はNETで知っていたものの、み〜とさんではないか、
「いや〜み〜とさ〜ん」と声を掛けると「こんにちわ〜」と返ってきた。実は一度しか会った事は無いのにお互い直ぐに判った。
土日を山で過ごすというスーパーお嬢さんなのだ。記念撮影をして昼食。
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迷岳山頂 |
みーとさん達は唐谷林道へ下ると言って先に下っていった。縦走最後の展望を、木の間越しにする。
北西には大きな山容の高見山が見え、少し右手に見えるはずの三峰山はなぜか見えない。
後は下るだけである。シャクナゲの尾根道は根っこが出ていている急斜面。しかしこれはまだまだ甘かったのです。
一度下った経験は有ったがもう随分前のことで覚えていない。飯盛山の前後には怖いガレ場の連続。
慎重に下って3時間以上かかり、緊張のあまりど〜っと疲れた様な気がした。
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シャクナゲ 迷岳の下りで |
飯盛山 |
登山口の標識を見て完走を固い握手で喜び合い、二日間の汗はスメールの温泉で流しました。
念願の縦走に同行してくれたDONさん、Kさん、久しぶりの充実した縦走が出来て感謝感激です。ありがとうございました。
ご一緒した どんかっちょ!さんの報告 郭公さんの報告
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