No,343 紅葉の早月尾根と劔岳


 2002年10月12日〜13日  前夜泊 + 1泊2日 テント
 メ ン バ ー  薫、森の音、ごましお、BAKU、DOPPO (敬称略)    
 行   程  10/12   馬場島登山口〜松尾平〜避難小屋跡〜早月小屋テント場
 10/13   早月小屋テント場〜劔岳〜早月小屋テント場〜馬場島登山口
 山   名  劔岳(2998m)
 天   候  快晴

大阪茨木午後9時出発。名神、北陸道で立山インターを出る。ここから早月川沿いに暗い夜道を走り馬場島へ到着(翌日午前1時半)。
車は10台くらい止まっていただろうか?夜中なのでハッキリとは分からなかった。
テントを張りビールで軽く宴会して、3時就寝。

1日目
6時、明るくなって目が覚めた。空には雲ひとつ無く、絶好の登山日和だ。
上高地や室堂は大賑わいしているだろうな!、しかし此処は登山者も少なく全く静かだ。
今回のメンバーは全員が劔岳は初めてだと言っている、不思議にもザックまでも全員が大阪のM社製なのだった。
荷物を分担して詰めるが、元気なごましおさんは他にも沢山詰め込んでいる、20Kgを越えているかもしれない。

8時出発。
登山口には「試練と憧れ」と書かれた石碑があり、いきなり急登が始まる。
計算すると登山口の馬場島が標高760m、山頂まで標高差2240mも有る
。兎に角、早月小屋のテント場まで1500m程担ぎ上げないといけない。どうなることやら。



30分程で1020mの松尾平展望台へ着く、皆まずまずの調子である。


登山道GPSデータは薫さん提供

暫くは平坦な道で歩き易い。大きな立山杉やブナが茂っていた。
しかしこれも束の間、ただただひたすら急登が続く、樹齢千年以上と思われる立山杉が、またナラの巨木。少しずつ紅葉も現れてくる。



標高1400mのプレートが見えてきたが、どうやら50m位の誤差があるようだ。
左手には赤谷山、その右には小窓尾根の鋭い岩峰も見える。
「そうか、あのもっと右奥に劔岳山頂があるのだな」、考えただけで気が遠くなる思いがした。
先頭を歩くごましおさんは速い、薫さん、BAKUさんもきっちりへばり付いて歩いている。
私もなんとか遅れずに付いてはいるものの体力の消耗は激しい。頃合をみて休憩を入れてくれるので助かった。
『ここは避難小屋跡ですよ』と、そこで休んでいた登山者に教えて頂いた避難小屋跡、
その周りには大きなダケカンバが青い空に映えて美しい姿を誇っていた。
次第に赤いナナカマドの葉が周りに多く見られるようになると、劔岳山頂も頭を出してくる。




右手に早月小屋の屋根らしき姿が見えて元気を取り戻すが、見えてからというのは結構長く感じるものだ。
最後の力を振り絞り、急登を過ぎると小屋の手前のピーク。(13:10)
我慢して登った甲斐あり、疲れも吹っ飛ぶ絶景が待っていたのだ。嬉しさの余り皆で写真を撮りまくる。

小屋の外れのテント場は紅い実の付いたナナカマドでいっぱいである。展望の良い場所にテントを2張り設営。
小屋でビール(500円)を買い、乾杯すると、日の高い内から宴会を始める。
此処でごましおさんはザックから玉手箱のように、いっぱい出している。缶ビール6本、缶チューハイにおつまみ、缶詰などなど・・・・・
無料でゴーリキを雇ったようなものだ。

谷から雲が湧き出し、夕日が沈みだす。オレンジに染まる小窓尾根や大日岳。
早月尾根からのこの絶景は、生涯忘れられないほど目に焼きついてしまった。




2日目
4時、目が覚めた。辺りはまだ暗い、ヘッデンを付けテントから少し離れたトイレに入り、三つ並んだ真ん中の扉から入った。誰も居ない。
用を足しているとき、誰も入ってきた様子が無いにも拘わらず、突然隣で用を足す大きな音が約30秒間。そこからまた音は途絶えた。
息を凝らしじっと耳を澄まして様子をうかがう。そのあと物音一つ聞こえてこない。心臓が高鳴ってくる、しかし誰も出て行った様子はない。
このままジットしているわけにもゆかず、私は思い切ってドアを開けて出た。
音のしていた隣のドアは半開き状態。もう一度思い切ってヘッデンで中を覗いたが誰も居なかった。
こんな話、誰かに聞いたことはあったが・・・・・・まさか自分がこんな不思議な体験をするとは!!!

皆まだ寝ている。もう一度シュラフに潜り込んだ。

5時半起床。
薫さんがラーメンを作ってくれる。申し訳ないとは思いつつも、昨夜からずっと食事の用意は任せっきりで済ませてしまった。

テントに荷物をデポして、サブザックで出発。(6:30)
快晴の無風状態。
潅木の中に入る。直ぐに森林限界となりあたりが開ける。いくつかのピークを越すとハイマツ帯の痩せ尾根になった。
山頂も見えている、薬師岳や笠が岳も姿を現す。

岩稜帯にさしかかり、もろい岩が多く落石に注意をしながら離れて歩く。後で知ったのであるが獅子頭、カニノハサミとか言う岩場が連続して続く。
僅かにザレ場に残っていた雪で、下りには危険かもしれない。

(9:00)着いた、着いた、やっと着いた。
山頂は室堂方面から登ってきた登山者で賑わっている。
展望は360度、というには勿体無いくらい遠くまで望めた。北アルプスは勿論、富士山、南アルプスの荒川方面まで。
そして白山も、日本海も、あっちもこっちもである。
何といっても、馬場島登山口から登ってきたルートが手にとるように分かる。

祠の前の記念写真は順番待ち状態。記念撮影を終え名残惜しみながら下山へ。


(11:00)テント場到着。小屋でビールを買う。ロング缶700円也。テント撤収。

さて、ここから長い下りが始まった。兎に角急坂で長〜い、長〜い、皆そう感じていたと思う。
ヒザはガクガクで、フラフラの状態である。
幸い疲れを忘れさせてくれたのはナナカマドの紅い葉や、白い幹に黄色い葉のダケカンバ。
「試練と憧れ」の石碑到着(15:30)




強烈な印象を焼き付けた早月尾根の二日間が終わり、メンバー全員の硬い握手で締めくくった。

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