稲村への稜線より大日岳を見る
 2005年3月13日  日帰り
 メ ン バ ー  郭公さん、タンタンさん、DOPPO 
行    程  洞川ごろごろ茶屋〜法力峠〜稲村小屋〜大日キレット〜稲村ヶ岳 ピストン
山    名  稲村ヶ岳(1726m)
天    候  

先週から稲村、稲村と喧しく騒ぐKさん。その雰囲気に飲まれてしまっていたのだろうか?
山上ヶ岳も一緒にやりたそうな雰囲気だが、そこまで簡単には出来ないだろうと思った。
何しろ稲村の小屋からレンゲ辻の間はかなり危険な斜面の連続で簡単には通過できない。どちらかと言えば尾根にルートを取るほうが安全と考えた。

一方、春も近く、雪はグンと締まってきたこともあり、楽勝かもしれないとも思ってもみた、でもそれは前日までのことだった。
今シーズン10度目の寒波である、積雪も例年とは比較にならないくらいで、まだまだ大峰は真冬の状態だった。

小雪降る中,ごろごろ茶屋へ駐車。五代松鍾乳洞経由の階段登りからスタート。6:25
昨夜の雪が表面に積もっているので判りにくいが、その下はツルツルに凍っていた。何度も足を滑らし木の階段を登って登山道に出た。
ここから法力峠への稲村道は快調だった。法力峠を過ぎると雪は徐々に深くなり、多少足は重くなるが先頭をTさんが歩いてくれているので私には楽だった。

谷を横切る回数が増えてきた。橋がある、その向こうの急な斜面を通過することになる。
『そろそろアイゼンを着けようか』 と、橋の上で着けた。
ストックを橋の横に置いてピッケルに切り替える。

慎重にいくつかの谷を渡ったが、かなりヤバい崩れた橋の手前で躊躇した。ちょっと巻いて下り崩れた橋を通過したが、KさんTさんは後々の安全を考えて尾根に上る様子だ。
先に渡ってしまった私もそこから尾根に上がろうと這いながら登るも、あまりの急斜面で諦めて、再びトラバースを繰り返し、あと一巻きで稲村小屋かと思える斜面で遂にトラバースギブアップ。
緩やかになった尾根に登り、ピークを越えてこようとしているKさんTさんを待つ。

それらしき音は聞こえない、声も聞こえないので大きい声で呼んでみた。
ひとつ向こうの高い尾根の方から返事が返り、暫くして2人がこちらへ下ってきた。
小屋は直ぐそこに見えてきた。

『山上ヶ岳なんてこの雪じゃむりやね』
皆でうなずく。

小屋の片隅で風を避けて一本入れた。
思い起こせばば今年の大峰では殆どトレースを見なかった。何処の山も朝一番のスタートだったのかもしれない。勿論今回もだ。

此処からは大日のトラバース以外は全て尾根を歩き稲村へたどり着く予定だ。





小屋から先は一段と雪が深くなる。夏道の様子はハッキリ分かり難いが、今回は稜線沿いに大日岳の手前へ進んだ。

この先がいつも撤退を余儀なくされる大日を巻く危険なトラバース。
今回の雪の状態はどうなのか?
此処には格別思い入れがあるKさんが積極的に調査をする。私はここで一息入れて様子を伺う。

Kさんは慎重に一歩一歩足場を確保しながら進んで、どうやら安全なところまで辿りついた様子だった。



Tさんはピッケルを持っていないので、私がザイルを伸ばして先に進み、念のために確保しながらのトラバースである。
先にすすんだKさんが待つ大日キレットで一本入れる。

夏ならばこの先の鎖場を越えて、腹を巻いて楽々山頂なのであるが、冬は此処の腹の通過は厳しい。予定通り稜線に沿って登りかける。

急斜面や痩せ尾根を通過して剣の刺さったポイントに辿りついた。
此処から山頂は直ぐだった。

展望台の下にミオス尾を越えてモジキ谷経由で登ってきたと云う単独者が先に休んでいたが、暫く話して直ぐに戻っていった。
無事に戻ってくれる事を祈るばかりだ。


展望台は方墳のような形になった分厚い雪が乗っかっている。
その上に乗って見る。
生憎展望は得られなかったが、この時期山頂に立てて充分満足だった。

いとも簡単に登れる夏のメインルートでの稲村ヶ岳ではあるが、
メインルート以外のルートや冬の稲村は人を簡単に寄せ付けない魅力に溢れている。
私は釈迦ヶ岳、弥山と共に大峰の3指に入る山だと思っているが、今回もその魅力にはまってしまった。



 
(参考タイム)
ごろごろ茶屋6:25〜稲村小屋10:00〜稲村ヶ岳11:45-12:00〜ゴロゴロ茶屋15:00
同行の郭公さんの報告