2006年8月13日〜14日  石室テント1泊
 メ ン バ ー  タンタンさん、DOPPO 
行    程  北沢峠〜仙水峠〜駒津峰〜甲斐駒ヶ岳〜六合石室(テント泊)
 三つ頭〜中の川乗越〜第二高点〜鹿の窓〜小ギャップ〜第一高点〜角兵衛沢を下る〜戸台登山口駐車場
山    名  甲斐駒ヶ岳(2967m) 鋸岳・第一高点(2685m)
天    候  晴れ

鋸尾根   甲斐駒の下り、岩の壁辺りから
少々荒れ気味の天気予報で出発を1日延期し、12日の夕刻出発した。
最近の高速道路利用は深夜割引を利用している。駒ヶ根SAで時間調整して一般道へ下りた。
戸台方面へは、分かっている積りだったが道を間違えたようだ。地元の親切な方に地図まで書いていただき戸台口の大きな駐車場へ着き、朝まで車中泊。

初日
北沢峠行きのバス待ちの登山客が並んでいた。
初日の行程は短いので気分はゆったりしている。慌てることも無く5台目のバスに乗る、車窓から景色を眺めるのも楽しみの一つ。
バスは戸台大橋を渡ると南に地蔵尾根をみながらグングン高度稼ぐ。
 
車窓からの鋸尾根
次第に北側の鋸尾根が見えるようになると胸が躍る。
バスから見える鋸の姿には圧倒される迫力がある。いつしか夢見た縦走を明日実現する事ができるのだろうか?
多少の不安を抱きつつ北沢峠に着いた。

我々は2人とも前週もしっかり歩いている。タンタンさんは早月尾根を剣へピストン。私も空木から三の沢へ、何れも標高差2000mを登っていたので筋肉には少なからず疲労も残っている様である。
兎に角、初日はゆっくりと歩き、2日目の核心部へ体力を残して歩くことに念頭をおいた。
北沢長衛荘前のテントサイトは賑わっていた。
甲斐駒へは展望の良い仙水峠からのコースを選択した。
もう一つ大きな理由があった。仙水小屋の美味しい水を飲めるのだ。私が今まで飲んだ一番美味い水が此処の水だと思っていたからである。

今日も間違いなく美味かった。



駒津峰からの甲斐駒ヶ岳

摩利支天  仙水峠から

六方石からは直登コースで登る。
ゆっくりではあるが結構しんどい。
12時過ぎ甲斐駒山頂。

NETで予想していたとは云えピッタシカンカンのサプライズあり。
尾白川本谷から登ってきたNET仲間の精鋭Yさん、Sさん、女傑Mさんの3人組にバッタリ。

感動の対面となり握手を交わしワンショット。
下ってゆく3人からビールの差し入れあり、見送って我々も鋸方面へ下る。


岩場の下りが続き、一箇所には長〜い鎖場のオマケがついた。

鎖場の上からは目指す鋸岳が気高く浮かぶ。
やがて石を置いた屋根が左下に見えて来る。
そこが今夜の宿、六合石室だった。

昼寝が出来る大きな岩の上に横たわると眠くなった。
石室の中にはテント3張り。我々とそのほかに3人のA組と2人のB組パーティの計7名だった。
釜無川から登って縦走して来たA組は大ギャップを懸垂で下降しヤバいトラバースを回避して来たようだったが、どのように回避したかは定かではない。この後、甲斐駒を経て黒戸尾根をくだるというベテランだった。
B組は我々と同じく鋸を縦走すると云っていた。




2日目
朝5時過ぎて、お互いの安全を誓い、それぞれが出発。
我々は最後の出発となった。

左のピークが第二高点
小さいアップダウンが続き、三つ頭で先行のB組を追い抜いた。
此処から中の川乗越までは急降下だった。
急坂を下る対面に第二高点への急斜面が迫る。


ルンゼ状斜面の中ほどにゆっくり登ってゆく単独者が見えた。
後で追いついたときに聞いた話では北海道から来たと言う高年者だった。此処には何度か来ていると言う。かなりのベテラン登山者はビデオカメラを抱えて楽しんで歩いていた。

岩のそばにはあちこちに咲いていたタカネビランジ
B組も後から上ってきたが落石を起こしたようで、大きな音がガラガラと鳴り止まない。一度落とすと大変だ。
B組はその後第二高点まで登り、その先を恐がり、中の川乗越へ戻り、撤退すると言って戻って行った。ロープもメットも持参していなかったので、恐らく装備不足に不安があったものと思えた。

第二高点に着いた。後には北岳から塩見まで見えている

誰が持ち上げたのか?重い鉄剣が突き刺さっている
もう直ぐ第二高点
仙丈ヶ岳の遥か下に北沢峠への南アルプス林道が見え、ここは空中散歩の気分。

第二高点より

昨日登って来た甲斐駒が遠くなる。(第二高点より)

大ギャップを見上げる
大ギャップ通過は技量も無く、我々には荷が重い。
ぐんと下って大ギャップ下の沢まで下降。
下降途中で心和ませる花が迎えてくれた。









大ギャップ下の沢を10mほど下り、向こうへ渡り岩のバンドを横切る。
草つきを登ると鹿の窓が小さく見えてくる。
近づくとクサリが垂れ下がっていた。
もろい岩とザレた斜面は不安定だ。上に人がいても見えない。声を掛けてクサリに頼って登った。


もう直ぐ鹿の窓

登ってくるタンタンさん。反対側から撮った。
鹿の窓を山梨側へ出ると向こうに第一高点が現れる。
手前の岩壁の向こうは小ギャップがあり、ナイフリッジを通って小ギャップ鞍部へ下る。









第一高点へ登る小ギャップ対面の岩壁にも新しいクサリが取り付けられている。↓


近づくとこうなっている

小ギャップへ下ってくるタンタンさん。
この下りの岩場にもクサリがあった。
約10mほどのクサリを登る。
その少し上までクサリが伸びていた

岩は逆層でもろく、上から人が来ると落石が恐いところ。

私が先に登ったが、タンタンさんは疲れがあったのか、荷物に重さを感じたのか?
安全のためにロープを要求してきた。

結局のところロープを出したのは此処だけだった。
クライミングの心得のある人ならばフリーで登れるのかもしれないが?
小ギャップを登ると、そこから20分ほどで鋸岳第一高点到達。

今年の第一目標にしていた鋸縦走を果たした感動と、無事の到達を祝して握手を交わす。


第一高点から角兵衛沢のコルへは切り立った瘠せ尾根。
下を見るとかなりの高度感がある。
瘠せ尾根にも一足早い秋の花が咲いていた。
トウヤクリンドウ


1人の先客がいた岩小屋



結局、逆走してきた人には1人も出会わなかった。
当日縦走したのは北海道から来たという単独の高年者と我々2人だけだったのかもしれない。
角兵衛沢を上ってくる登山者、計6名に出会ったが皆んな第一高点へのピストンだと言っていた。
角兵衛沢は足を出すたびにガラガラと音を立てる。

途中の岩小屋で滴る水を汲み喉を潤す。
膝にも疲れが溜まる頃、戸台川へ下り着く。

沢に足を浸して冷たい水で身体の汗を拭く。
天国にも上る爽快な気分だ。

二日間の好天に恵まれ、この上ない幸せを感じるひと時だった。
戸台の登山口到着10分前に夕立に遇ってしまったが、これこそ夏を感じる一瞬だった。


同行のタンタンさんのページ
【参考タイム】
8月13日
北沢峠7:30〜8:30仙水峠8:45〜10:15駒津峰10:40〜12:10甲斐駒ヶ岳12:30〜13:35岩の壁クサリ場〜14:00六合石室(泊)
8月14日

六合石室5:20〜6:50中の川乗7:05〜7:40第二高点7:55〜8:45鹿の窓9:00〜9:10小ギャップ〜9:30第一高点鋸岳山頂10:00
〜10:10角兵衛沢のコル〜11:10岩小屋11:25〜13:00戸台川角兵衛沢分岐13:20〜15:05戸台登山口駐車場