蝙蝠岳と左奥の塩見岳
 2007年8月12日〜14日  前夜発 テント泊
 メ ン バ ー  単独
行    程  8/12山梨県早川町新倉田代入口・広河原〜工事現場で取り付きを間違え大きくタイムロスして登山口へ
 再出発〜転付峠〜二軒小屋(テント泊)
 8/13二軒小屋〜水場〜徳右衛門岳〜蝙蝠岳
 ピストン(テント泊)
 8/14二軒小屋〜転付峠〜広河原
山    名  徳右衛門岳(2598.5m)、蝙蝠岳(2864.7m)
天    候  初日=晴れ、2日目=晴れ 3日目=晴れ
予定していた北ア、相棒との日程調整が付かず急遽変更して単独での南ア周回。
今回の目標は蝙蝠岳と農鳥岳と笹山だった。3泊では厳しいものがあるが初日をクリアー出来れば何とかなるか?
エスケープルートとして両俣小屋へ、また大門沢へ下ることも考慮してはいたが、残念ながら初日で躓いたことが大きく、結果は超短縮の山行きとなったが、長大な蝙蝠尾根を登り満足もしている。


20万図はこちら

東名高速SAで2時間の仮眠後、清水ICで降りる。
北へ向かって富士川街道を身延へそして南アルプス街道を早川町の新倉。少し進むとバス停田代入口がある。
そこから一旦東へ向きを変えて橋を渡ると西へ向かって林道が続いていた。
午前3時半、たくさん車の停まっているところ、ここが転付峠への登山口だと判った。1時間の仮眠をとる。

8/12 5時出発。
工事中の林道を進むが取り付きが分からない。その先は行き止まりだった。
引き返して階段の付いたところを登っていった。その先は上の林道につながっていたので、そのままどんどん歩いた。
1時間半経過してザックをを降ろし一本入れる。

あとどれ位かと地図を広げる。
なになに?違う方向に来ているでは・・・・頭の中がガーン
参ったな〜。そのまま引き返すには時間が掛かり過ぎる。
え〜いここから直接下れば距離的には近いぞ。
藪を下る。出来るだけ獣道のようなところを選んだ。
200mばかり下ったところで大崩落地の真上に立った。
下を見ると身震いがするほどだが、その下に工事現場が見えていた。そこからもおよそ200mほどの下りだった。
崩落地の際を滑らないようにユックリと下山。
下山1時間。2時間40分のロスをしてしまった。
後に聞いた話では、ここの取り付きで間違った登山者は随分いたらしい、中には4時間もうろうろした人もいたという。

工事現場に現れたおじさんに道を確認して再出発。
既に初日の行程計画は崩れてしまったようなものだが気を取り直して歩き始める。

沢沿いの道は所々崩れかけている。
腐り掛けた梯子も危なっかしいが美しい滝が多く目を見張る場所も数多い。峠に繋がる道を想像すれば歩きやすい道を描くものだが、ここはとんでもない。

転付峠までの標高差は1100m。ロスをした400mの登降も加わり疲労も大きくなる。
沢から離れると少し勾配は厳しくなるが道は歩きやすくなった。
峠の手前の水場はたっぷりと流れていて実に味が良かった。あまりの美味さに2.5リットルを汲んだ。
滅入っていた自分には気分を癒してくれるオアシスであった。

転付峠12時半到着。
大休憩。
峠からの下りは標高差550mの急降下ではあるが九十九折れの道で歩きやすかった。

予定していた初日の幕営予定地の徳右衛門岳などとんでもない。さらに5時間も掛かるのだ。

13時45分、二軒小屋到着。
さっさとビールで喉を潤した。自販機で350mlが350円なり。山では考えられない安さでありがたい。

テント場で一緒になる他の登山者との山談義に花が咲く。
これが単独行の楽しみのひとつでもある。
8/13日 4時半蝙蝠岳を目指して出発。
当初予定の2日目は熊の平小屋だったが雪投沢辺りに幕営することになるだろう。

道標に従って東俣の林道をすこし歩く。
工事現場の横に取り付きの階段が見え、そこから登ってゆく。
「なんだこれは?」
いきなりの激登りだった。早朝の涼しさも吹っ飛ぶほどの汗をかく。何度も水分補給をした。重いザックが肩に食い込む。
まだ始まったばかりなのに予定通りに歩けるのか不安にもなる。標準コースタイムは蝙蝠岳まで8時間、雪投沢まで10時間20分となっているが・・・・・・
300mの標高を稼ぐと傾斜は緩やかになったが、ザックが重くのしかかる。
ここから長い長い尾根歩きが始まる。何度も休憩を入れ水分を補給した。
もう直ぐ水場、徳右衛門岳も一息か?
ここまでは5時間、何とか標準タイム通り来れた。
1本入れているところへ上から・・・・『おお〜〜』と声が掛かった。
こちらも『おお〜〜』っと
Sやんではないか(^0^)

実はNET仲間のSやん、私と同じコースを以前から目論んでいたのは知っていた。前日から登ることも2日前に聞いていた。
あまりの厳しさに蝙蝠岳で幕営し、もう下山すると言う。
『このコースはキツイやろ〜、Dさんも蝙蝠岳までピストンして二軒小屋で今晩一緒にビール飲みましょうよ』
なんてこった。
『折角ここまで来たのにな〜、ここからがやっと楽に歩けるのに・・・・』 とは言ってもみたがその先、そのまた先の事を予想すると、どうなることやら・・・・・

ビールに目が眩んだ(^^)

重いザックをここへデポし、Sさんのサブザックを借りて再出発。水場で1Lを補給して徳右衛門岳までは直ぐだった。
なんと軽く歩けることか。
ザックの重さでこれほど違うとは?

標高約2670m、潅木から抜けると突然展望が開ける。
ジャリジャリの岩屑だらけの尾根になった。
蝙蝠岳山頂が目に飛び込む。左奥には塩見岳の雄姿が眩しい。
悪沢岳も目の前だ。
北のほうに目をやると間ノ岳から農鳥岳、広河内、笹山も

最高の展望が広がっている。

念願の蝙蝠岳までは直ぐだった。
暫し360度の展望を浴びる。

登ってきた徳右衛門岳を振り返る

塩見岳  ここから見ると東峰、西峰が重なって見えた


奥から間ノ岳、西農鳥岳、農鳥岳、広河内岳


蝙蝠岳11:45〜12:00

悪沢岳

小河内岳

塩見岳山頂部ズームイン
ビール、ビール、ビール。
下山してテン場でビールを唱えながら下る。


重いザックを回収して調子よく歩けたが筋肉はパンパン。
下山時間4時間半。
結局のところ殆どボッカ訓練だった蝙蝠岳日帰り往復はちょうど12時間掛かった。

二軒小屋のテン場で待っていたSやん

激登りだった蝙蝠尾根を振り返る?
いや力量を反省する二人であった
8/14日
転付峠へ登り返す。
転付峠を下りかけて直ぐに見えた富士山はかなり近くに感じる



 
下山後の温泉は上湯島の『湯島の湯』
風情ある掛け流し温泉に浸かる。
参考タイム
1日目=田代発電所登山口5:00〜道を間違えロスタイム〜再度出発7:40〜12:30転付峠12:50〜13:45二軒小屋テン場
2日目=二軒小屋テン場4:30〜徳右衛門岳水場9:45〜徳右衛門岳10:00〜11:45蝙蝠岳12:00〜13:25徳右衛門岳13:35〜二軒小屋テン場16:30
3日目=二軒小屋テン場6:10〜転付峠7:50〜田代発電所登山口11:00