阿弥陀岳南稜
 2007年10月7日  日帰り(前夜車中泊)
 メ ン バ ー  単独
行    程  船山十字路~旭小屋~立場岳~無名P~2564~P3の樋~阿弥陀岳~中央稜~広河原沢~船山十字路
山    名  阿弥陀岳(2804m)、立場岳(2370m)
天    候  晴れ
先日初めての八ヶ岳を廻り、一番気になる山が阿弥陀岳だった。
生憎天気には恵まれず全容は見ていない。時折のガスの中に鋭い山頂が覗いていたが胸がゾクゾクするほど引き付けるものを感じた。これは是非とも全容を仰ぎながら登ってみたいな~ってことで、晴れマークの一日だけを狙って出かける事にした。
登山口の船山十字路、深夜1時着。


地図はこちら4万図
朝5:35出発。

林道が左右に分かれていて、そこを右手にとり、旭小屋経由のルートを歩く。
林道は浅い沢を2回ほど渡りると西岳の山裾を歩く。暫くしてもう一度沢を立場岳側に渡ると壊れかけた旭小屋に着いた。
小屋の前を通り、立場岳への稜線に向かって道は傾斜を増してきた。ボロボロした岩の多い斜面に出ると展望が開ける。
振り返ると西岳と思える頂が見えている。そこから直ぐに尾根道に出た。ゆったりとした尾根道がだらだらと続く。
立場岳の手前で休んでいる夫婦連れを追い抜いた。

立場岳山頂は林の中、山名板の標高表示は2248mとなっていたが地図に載っている標高2370mとはかなりのズレがある。

青ナギと阿弥陀岳
立場岳から平坦な道を進むと少し開けた展望ポイント。
阿弥陀岳の全容が初めて現れる。その姿にしばし見とれてザックを降してエネルギーの補給をしていると先ほど休んでいたAさんご夫婦が追い抜いていった。
薄い雲が切れて空は青くなってきた。






暫く休んで下ると直ぐに青ナギと言われる南斜面がザレていてすこぶる気持ち良い開けた場所に出る。
Aさんご夫婦はここで休んでいた。
先ほどの場所より休憩にはここが1番ということを良く知っている方の様で、お話を聞いてみた。

積雪期にも何度か登っておられると云うAさんはこのルートの事を話してくれた。この先に多少の不安も抱いていた私には随分参考になり、楽しんで登れる余裕も貰った。

・・・が「樋」という難所が1箇所だけあるとも聞いている。
青ナギから草の急斜面を登ると一つのピークを踏む。

青ナギからの色付く権現岳

無名ピークにて


無名ピークでは赤岳が正面に良く見える

次のピークが2564m。
もうここまでくると岩が多くなり遮るものは無くなり写真撮りまくり状態。ゆっくりと楽しんで登ることにした。

赤岳も手に取る程に接近し、こちらへ下ってくる人の姿もはっきりと見えている。





いよいよ南稜のP3,P4の核心部が迫ってくる。
踏み跡はしっかりと付いているので間違うところは無いらしいが、何処をどうやって登ってゆくのだろう。

P3をズームイン

南アルプスから北アルプスが見渡せる。

こちらは中央アルプス

北岳、甲斐駒、仙丈、その横には鋸も

穂高から大キレットを挟んで槍ヶ岳

立山、白馬方面

赤岳と左の中岳

赤岳ズームイン
申し分のない展望
下りを予定している中央稜

辿ってきた尾根

富士山
P3は西側の基部を通る。
そこには「岩登り中級者」と矢印が上に伸びている。勿論これに足を伸ばす気などある筈もない。

トラバースすると、怪しいユルユルのワイヤーがあり、短いロープもぶら下がっている。
このワイヤーに頼ると体が谷側へ振られるようだったので自力で一つ上の段に登る。
なんだか危なっかしい雰囲気の斜面が上に伸びている。
『ええ~これを上に登るの?』と一瞬周りを確認してみたが、これしか登るルートはない様だった。
『あ~これが難所の樋か』と覚悟した。

スタンスも取れる、ホールドもあるにはあるが樋状の真ん中辺りは濡れていていやな雰囲気がする。
この辺りのボロボロっとした岩肌も気色が悪い。斜度は45度程度で姿勢を保つには中途半端である。

ゆっくりと慎重に登った。上の方では凍結箇所もあり、凍っているところを避けて登った。100m位もある長い樋状のルンゼを登りきるとひと安心できる。

事前情報で知っていた固定ロープは傷みがひどくなったのだろうか、取り払われてしまっていた。

Aさんご夫婦も後を追って登ってきた。
ここでもまた大展望。もう山頂がP4の向こうに見え、人の姿もはっきりと判るくらいだ。

ここをトラバースして右上に長いルンゼ(樋)が続く

下山道の中央稜側から望遠で撮った
P4の左をトラバースすると山頂はその先

P4のトラバース ザックを引っ掛けないようにすれば問題はない
右下に目をやると赤岳側からの登山者がアリのようにぞろぞろと歩いているのが見える。

後方は赤岳
10時丁度山頂着。
広い山頂では関西弁のおばちゃん達をはじめ多くの人で賑わっていた。

展望をおかずに二度目のおにぎりでエネルギー補充。
真ん中の横岳と左が硫黄岳
中央稜へは摩利支天の横を通り、御小屋尾根コースと分かれる。

北の展望

下山路で摩利支天を見上げる








中央稜を下る

中央稜はハイマツと草付きの急斜面を下る

中央稜からは奥壁が間近に見える。
広河原沢を下り林道を歩いて船山十字路へ下る頃薄雲が広がりかけていた。

ダイナミックな阿弥陀岳を仰ぎながらの登山は満足感で一杯だ、充実した1日だった。
いつまでも目に焼きついて離れないことだろう。

沢も近くなり振り返る
                                  

(参考タイム)
船山十字路5:35~旭小屋6:17~尾根~立場岳7:32~7:40青ナギ手前7:55~8:00青ナギ8:05~無名ピーク8:30~P2564 8:35~P3 9:35
~10:00阿弥陀岳山頂10:30~中央稜~広河原沢11:30~船山十字路12:50