大沢岳  (中盛丸山から)

 2009年8月11~12日  百軒洞山の家(泊)
 メ ン バ ー  単独
行    程  8/11 易老渡光橋=兎洞林道車止ゲート~林道歩き~笠松山登山口~笠松山尾根分岐~笠松尾根
     ~兎見平~兎平~兎岳三角点~兎岳~中盛丸山~大沢岳~百軒洞山の家(泊)
 8/12 百軒洞山の家~中盛丸山~同じルートを戻る~林道車止ゲート
山    名  兎岳(2818m)、中盛丸山(2807m)、大沢岳(2819.4m)
天    候  8/11=晴れ 8/12日=晴れ

この夏のメインに決めていた大沢岳。そのルートを探していた。
以前北から縦走した時は何故かトラバースして大沢岳をカットしていた。

北岳や塩見方面から、南の光岳から見ても尖った山が二つ、際立って目立つ。
それが南アルプスのど真ん中に位置する大沢岳と中盛丸山。
何処から登っても一般ルートでは、辿りつくには二日掛ってしまう。
一日で辿りつく方法はないものだろうかと調べていた。
以前仲間のSさんがシラビソ峠から大沢渡経由で一日で辿っていたが、今は崩壊のためか通行禁止のようだ。

なんとかなりそうなルートをNETで見つけた。と云ってもどの地図を見ても登山ルートは載っていない。
それが易老渡の手前から兎洞林道を経ての笠松尾根だった。
兎岳へ直登して大沢岳まで、ビバーク対応は必要だが軽い荷物にすれば百軒洞の山の家まで辿れるだろう。
約10時間を想定したが、結果は疲れも溜まり休む時間が多くなり11時間かかってしまった。

予定は一日目=林道ゲートまで車、笠松尾根で兎岳・大沢岳で百軒洞山の家へ
 2日目=兎岳へ戻り聖岳・上河内岳経由で茶臼小屋
3日目=茶臼岳・仁田岳・易老渡へ下山し林道を歩き車の回収

ただし3日目の天気が崩れる予報だったので2日目で聖から便ヶ島へのエスケープを考慮し便ヶ島へ自転車をデポする。

車を駐車し登山準備していた時のこと。
睡眠不足の為か体はシャッキリとはしていなかったし、地に足が付いていないようなフワフワしているな、と思ってもいたが
それだけでもないような変な揺れを感じた。
と思ったとき地面が上下し、山の斜面にガラガラと岩が崩れる音。不安が過った。

本来、この林道は通行禁止だとは、事前に村の役場で確認していた。
『ロックシェルター前後が崩れやすく禁止にしている』だった。
確かに通過するときに見たロックシェルター付近は何時崩れてもおかしくない斜面だった。
禁止の看板はあったが真ん中を通れるようになっていたので車止めゲートまで入ってしまった。
勿論落石の多い林道だった。

林道の様子が気になる。車は戻れるのか?
考えても仕方ない、休みは16日まである。とにかく山を降りてダメなら考えようと。
地震だったと確認できたのは兎岳山頂で初めて人に会いニュースの情報を聞いた時だった。
結果は、それが気になり、下りにこのルートを使うのは嫌だったが二日間でのピストンになってしまった。




【1日目 8月11日】

5時25分、駐車場所を出発。
林道は奥へ奥へと続き、今度はUターンして南へ次第に高度を上げてゆく。およそ1時間でNETで見覚えのある登山口があった。

特に道標はなかったが木の梯子とテープが巻き付けてあり、これが笠松尾根への登山口だと分かった。

急斜面が続く。尾根の手前では踏み跡が判り難かったがピンクのリボンが目印になる。



一息に400mを登った。
シダの中を掻き分けると、薄くなった文字の道標がある尾根の分岐だった。







ここからは平らな道となるが踏み跡はシダに隠れて見えにくいところが多い。
ここにもその向こうにはリボンが見えていて助かるが、足元が見え難いので躓きやすい。
長い尾根歩きが続いた。


歩き始めて5時間、ちらっと見えてきたのは兎岳山頂か?
ここが兎見平かもしれない。

このあと樹林帯の中の急斜面になる
展望が開けるとハイ松帯になる。
休む回数も増えてくる。
兎平までは近そうだが足が上がらない、歩きにくい。
でも蒸し暑かった樹林の中より風のありがたさを感じる。


やっとのこと、右奥にはっきりと兎岳山頂の姿を捉える。
手前が兎平だろう、もう手に届いたようなものだ。

山頂へ向かって右斜面を聖方面から登って来る人影も見えていた。


ここから本当のハイ松の藪こぎが始まる。
兎平を越えるといったん軽く下るが、特に道は無いので波乗りのようにバランス取りながらハイ松を越えることになる。
ピンクのリボンがここでも大いに役立った。

ただし翌日下りでは一時ガスが掛かり方向を定めるのに難儀し、危うく違う尾根に下りかけ引き返す。
その時初めてコンパスのお世話になる。


山頂西寄りのハイ松の中にひっそりと三角点あり。



歩き始めて7時間、三角点から最後の大藪こぎを終え、兎岳山頂に立った。
ここまで来ればもう達成感で一杯だったが、北を見ると大沢岳は遥か向こうの方だ。

雲の間に赤石岳


山頂に咲いていた


もう焦ることもない、ゆっくり行こう。
でも中盛丸山が前に立ちはだかっている。
百名山に入れてもおかしくない程、実に美しい姿だ。
流石に疲れた身体にはこの上りはゆっくりだった。


大沢渡への分岐
分岐から大沢岳手前のピークを見上げる


念願の大沢岳


西斜面が切り立った大沢岳。
赤石側へ60m下った所より見上げた



長いガレガレを下り切ると水の豊富な百軒洞。
右上にテント場が見える



テント場から少し下ってやっと着いた百軒洞山の家


夕食前のひと時、外のテーブルで石川県から来られた同年配の方と山談義。
翌日も兎岳までは前後しながら歩かせてもらい楽しかった。


ここの小屋名物はボリュームたっぷりのソースカツに蕎麦。キャベツも山盛りだった。
寝具は毛布2枚にシュラフ枕はビックリするほど小さくて15cm×10cm程度。全ては嵩張らない方法だろう。
忘れてならないのはアルバイト女性は皆んな美人だったこと。



【2日目 8月12日】
朝4時半、薄明るくなるころ出発。


トラバースルートで中盛丸山手前の鞍部へ。
ここで朝の富士山遠望。



赤石岳と富士山  5時25分


中盛丸山からの聖岳 6時



赤石岳




兎平のハイ松帯  ガスるとリボンが見えなくなる



これから下る笠松尾根を見下ろす


苔とシダでいっぱいの笠松尾根は自然の庭園。


山慣れた人なら問題のないルート、リボンも判りやすかったが、ガスった場合初めて下山に使うと、ルートを失う危険性があると感じた下山だった。


さぁ、懸念している林道崩壊はあるのだろうか?
ドキドキしながらゆっくり車を動かし下って行く。
ハラハラ・・・・ロクシェルターはまだか
 ドキドキ・・・・未だだな

落石や崩壊で通行できない場合のこと下山中いろいろ考えていた。
便ヶ島まで歩いて行って警察にTELしようか?
いやいや自己責任で入ったのだから、そんな迷惑な・・・・でもしかたないかも。
他の方法は無いものか?
岩だけなら車にロープつないで引っ張って避けるか?
それも無理だろう。
ならば大きい岩の周りに小さい岩をいっぱい並べて傾斜にして乗り越えることも出来るだろうか?

ロックシェルターが見えてきた。
目を覆いたくなるがその向こうはどうだろう、顔を持ち上げて見る。

ああ~~通れる、通れた~\(^o^)/

安堵に変わった気持ちで便ヶ島へ自転車の回収に向かう。
置いていた場所に自転車は無くなっていた。
心無い人が持ち帰ったのか、それとも放棄物とみて処分されたのか?

まあこれくらいは良いだろう、チャンと車で帰れるから。
今回ばかりはそう思った。


このルートを参考にさせていただいたページ
(笠松尾根から兎岳・聖岳~遠山山の会の方と同行)の方
に感謝いたします。

(参考タイム)
8/11日  易老渡光橋
=この間5.5Kmは車=兎洞林道ゲート5:20~林道歩き~6:25笠松山登山口6:45~笠松尾根~10:30兎見平~
      11:40兎平11:55~12:20兎岳12:45~孫兎岳~子兎岳~14:38中盛丸山14:48~大沢岳15:30~16:30百軒洞山の家(泊)

8/12日  百軒洞山の家4:30~5:25分岐5:35~中盛丸山6:00~6:40子兎岳6:50~孫兎岳~7:45兎岳8:00~兎平(迷う)
       ~笠松尾根~
笠松山登山口11:40~兎洞林道ゲート12:30