1日目 土合から朝日岳を経て蓬ヒュッテへ
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上越線土合駅から500m 。土合橋の手前を右手に戻るように道を入ると広い駐車場があり、停まっているのは僅か数台だけだった。
午前中の天気が良くない事を思うと納得は出来る。
自分自身も3日間の好天続きは無理だろうと考え、今日の半日くらいは辛抱するつもりでやって来たのだ。
出発準備をしているとカメラを忘れたことに気づく。
何かを忘れてくることは良くあることだ。
元々一眼デジは重いので今回はコンデジを予定していて、それを忘れてきた。
アイフォンで撮ることにしよう。バッテリーは持っているが3日間持つだろうか?ちょっと心配だ。
雨模様なのでレインスーツにスパッツで出発だ。
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松ノ木沢ノ頭までは強烈な急登が続いた。 この頭は谷川岳の東面の岩場撮影ポイントとなっている。
僅かな望みを持っていたのだがガスに包まれて全く見えず残念だ。
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白毛門が近付くと樹林帯を抜け出て風当たりが強くなる。
白毛門からはモッタイナイが70mほど下った。
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真っ直ぐにスーッとした斜面を200m登り返し笠ヶ岳。
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笠ヶ岳から朝日岳へは標高差が約100m程。
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何度かアップダウンを繰り返して
広い頂上の朝日岳へ着いた。
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山頂の向こう側は草原状になっていて池塘と草紅葉が迎えてくれた。
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木道を歩いてジャンクションピークへ向かう頃次第に空が明るくなる。
見てる間に青空が広がっていった。
巻機山方面、柄沢山1900mだろうか。ダイナミックな姿を見せている。
正面には際立って鋭い岩峰、大源太山が目に入る。上越のマッターホルンと呼ばれているらしい。
谷川岳方面だけは相変わらずガスに包まれて見えず。
長い下り坂では、左の朝日岳の斜面の紅葉が盛りを迎えている。
清水峠の避難小屋付近から朝日岳を振返る
冬路ノ頭 への登りは真っ直ぐだ。振り返ると通ってきた朝日岳の稜線が遥か上に。
数時間前に歩いたばかりなのに何故か懐かしく感じるのだ。
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見た目に長かった七ツ小屋山はそう遠くは無かった。
下が七ツ小屋山
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七ツ小屋山山頂から見下ろすと、笹原に曲線を描いた蓬峠 への道が気持ち良さそうだ。
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七ツ小屋山からの眺め
右端が白毛門 その左の尖った笠ヶ岳 中央左寄り辺りが朝日岳
蓬ヒュッテの屋根が見えた
向こうは明日登る武能岳とその向こうに茂倉岳と雲に隠れた谷川岳
蓬峠着。
道中、今日も誰にも逢わなかった。
先ずはビールを注文して寛いだ後に水汲みに下る。
水場は土樽への蓬新道を10分程くだったところにタップリ出ていて、兎に角美味い。
こじんまりした小屋なので管理人が一人でやっている。食事は予想していた通りのカレーだった。
泊り客は単独者ばかりの7人。それなりのツワモノぞろいが食卓を囲み、管理人さんも加わり話が弾む。
こんな方達と話すと貴重な情報がドンドン入っくる。
2日目 蓬ヒュッテから谷川岳を経て大障子避難小屋へ
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朝、濃いガス、風向きが変わっていて強い北風だ。
管理人さんが鳴らす鐘の音に見送られて濃い霧の中、笹の道を歩き始める。
武能岳までは笹原を緩やかに登る。
懸念していた昨日の疲れは無さそうだ。
霧がスーッと消えて一瞬青空が見えたりする。このままの天気だと良いのだが、そうはならなかった。
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今日一番の登りになる茂倉岳までは結構長い道のりだった。
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一ノ倉岳の山頂には、とても小さな蒲鉾型の避難小屋。
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このヤセ尾根の左上雲の中に谷川岳がある
谷川岳に差し掛かる。連休初日とあって人混みの山になっている。
私は休むこともなくオキノ耳とトマノ耳を通り過ぎ、肩の小屋まで下った。
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こ
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風は強くなるばかりだ。今季一番の季節風がやってきたようだ。ガスで視界は無くなる。
このまま下ってしまうことも頭によぎったが、明日の天気の回復が期待出来そうだったので進めるところまで行こう。
どの避難小屋も小さいが早目に入れば何とかなるだろう。
強烈な風で痩せ尾根は怖い。特にオジカ沢ノ頭への岩場は厳しかった。
風裏の群馬側の斜面になるとホッとした。
風は雨混じりとなり、レインスーツに身を包み、昼前だったが先客が一人居た大障子避難小屋へ。
先ず水を汲みに下り、今日の宿をここに決めた。此処が唯一の水場だ。
夕方に掛けて気温はドンドン下がってきた。
早い目に夕食を済ませてシュラフに潜り込む。嵐の様な風雨で長い夜だった。
3日目 大障子避難小屋から仙ノ倉山を経て平標山へ
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雨は止んでいたが、相変わらずの強い風だ。
でも必ず天気は好天するはずだ。
ガスの中出発した。30分もしないうちに青空が見えてくる。
遠くの山並みも分かりやすくなった。天気が良くなると足の運びも順調、3日目とは思えないくらいだ、快調快調!
それでも気は抜けない、北風が強い。
尖ったエビス大黒の頭と 右の最高点が仙ノ倉山(万太郎山から)
『ドドドドー』嫌な音がした。
エビス大黒ノ頭からコチラ側に下ってきた男性が風に煽られて足元が滑り、私の数メートル前で滑落。
二回転くらいして笹の斜面に辛うじて止まったが、そのすぐ下は岩の急斜面だったのである。
その男性は照れ笑いしていたが、まさかの生死を分けた一瞬に、良くぞ助かったものだと、私は身震いがした。
本日一番の辛い登り坂はエビス大黒ノ頭。まともに北風を受けて痩せ尾根を登った。
その向こうに待っているのは今回の最高峰の仙ノ倉山。
ここまで来れば、ほぼ最終章。
気温も上昇してきた。
エビス大黒側から万太郎山を振返る
仙ノ倉山側から見るエビス大黒の頭
人が少なかった縦走路もほぼ終わり、広い仙ノ倉山の山頂は急に人口密度が高くなった。
多くは平標側から登ってきたピストンの登山者だ。
晴れて展望も良くなり、薄っすらと富士の姿も捉えた。
こうして歩いた谷川連峰の気象は特異だ。関東平野と新潟平野を谷川の稜線一つで分けている。
太平洋側と日本海側の空気が接触し、気象変化が激しいのが良くわかった。
森林限界が1500m位だろうか、確かなことは解らないが厳しい気象が原因なのだろう。
この縦走中で最も楽な道だった仙ノ倉山から平標山へ続く道
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平標山頂は日帰りハイカーが多かった
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念願にしていた谷川連峰全山縦走を終え、達成感に浸りながら、平標山を下る。
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見晴らしの良い下り道からはテーブル状の苗場山が見えていた。
松手山周辺の紅葉
平標山登山口
バスでJR湯沢駅へ、そして上越線で土合駅へ戻り車を回収し、帰阪した。
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