ここ馬場島には昨日入った。7月に登ったクズバ山と共に劔岳の展望台と言われる細蔵山。
一般にはあまり知られていない細蔵山に関しては色んな情報があった。
山岳写真家の白旗史郎氏が雪の剱岳の撮影に登ったとか、池の谷が正面に見え、剱岳が一番ダイナミックに見える山だとか、
急登が厳しい、酷い藪漕ぎで道迷いもある・・・など。加えて立山杉の巨木群があるとの事。
色々有るがダイナミックな剱岳を見たいとの強い気持ちでやってきた。
馬場島の駐車場で車中泊して少し戻った伊折橋から地道の林道を入る。
両側から草や木の枝が被ってくる。あまり無理も出来ないので少し広まった所に車を停めて登山口まで歩く事に。
4駆ならもっと入れたのかもしれないが無理しなくて良かった。轍の間には50cm以上の背丈の草も多くて車高も必要だ。
林道歩きも半ばだったと思うが2km程歩いた頃だった、林道左の山側の茂みの中から唸り声が3回。
ほんの3m程しか無い所だったが姿は見えない。こんな怖い声は熊しかいない。
私が近づいた事に気が付き威嚇してきたのだろう。刺激しない様にそっとそのまま歩き去ると何事も無かった。
人が入らなくなった林道は熊の生活圏になってしまったのだろうか。
林道は沢に流されて途切れた所が有った。そこが4駆でも限界だ。
沢を渡り藪になった林道は山側に曲りながら高度を上げたり下げたり。その内に石ころの多い河原を歩く。
注意しながら左手山側を見て歩いていると、それらしきピンクリボンがみえた。近くにはブルーの水筒が石の上に、目印の積もりだろう。
リボンに近づいてみると「細蔵山登山口」と小さな標識がぶら下がっていた。
気合いを入れる前に一休みして落ち着こう。
昨日までの雨で草木はびしょ濡れだ。上下雨具でガードした。
でも、今日の天気予報は周囲の地域を含め全部晴れマーク。山頂での展望にワクワクしてきた。
登山口とは言え足元が見えない程の藪に突入した。いきなりロープに捕まり登る。
最初からこれじゃ先が思いやられるな、と頭をよぎったが直ぐに足元が見える様になってホッとする。
でも急登は続きロープに頼りながら高度を稼ぐ。標高が700m位からブナと立山杉が多くなり、登るに連れて杉の大きさが目立ってきた。
気になっていた薮漕ぎはここまで無かったがこの先どうなんだろう。
大きな立山杉の根っ子に熊の落とし物が並んでいて。異常にデカいのが三列だ。ここは完全に熊の生活圏内なのだ。
登山口から約2時間で1220mの稜線。
多少左右から薮が被って来るが跳ね返される程の薮では無く、ピンクリボンもあり、足元が見えるので気にはならなかった。
暫く小さなアップダウンを繰り返して1330mのピーク。振り返ればこの辺までずーっと立山杉の巨木があった。
80m降り、最後の登りが300m。ロープを頼り藪を払い期待外れの狭い山頂に到着。
灌木に囲まれた山頂は立って居なければ何も見えない、剱は何処だー、ガスで何も見えなかった。晴れの予報は何処に?
念願だった細蔵山には失敗した様だ。この山は稜線に残雪が1m以上ある時期が展望しやすく、歩き易くてベストなのかも知れないと思った。
けど年齢を重ねる自分にもう一度登る自信はない。
急坂を急いで降る必要も無く、たっぷり時間を掛けて安全に降った。
この登山口へは、林道跡の歩きを省略して早月川を渡る手も有るが、安全を優先して渡渉は避けた方が良いだろう。
馬場島の朝は晴れ間が見えていた
林道途中で車をデポ
林道を歩き始める
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車はちょっと入れない
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登山口とは言え気が付き難い
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隠れる様にぶら下がっていた
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急坂だが冬を耐え抜く根曲がりブナが美しい
でたー立山杉
大きな熊の落とし物の新旧
これは高さもある
なんでこんなに曲がるのか?
ストックを置いてみた
1330を下り掛け、ヤブとなるが雑木や下草は薄く分かりやすい。
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割れていた山頂標を縦にした。割れたのでは無く熊が齧ったらしい。
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ツリバナ
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