【 4日目 5月9日 深仙小屋から行仙小屋 】
深仙宿4:50~太古ノ辻5:08~天狗山6:00~地蔵岳7:05~7:40滝川辻7:50~休憩10分~涅槃岳8:40
~誠証無漏岳9:00~9:50持経小屋10:30~平治小屋11:17~行仙岳13:43~行仙小屋14:05
<19.1km 9時間15分 上り累積標高差1300m>
朝起きると雨だった、当初の予報どおりではあるが、今日から3日間は天気が良くないことになっている。当然モチベーションは上がらない。
加えて今日の行程は限りなくアップダウンが続くことになっている。雨でも行くしかないのだ。行者さんはそんなことには関係なく歩いたに違いない。
危険なところは余り無いし黙々と歩くことにしよう。
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ここは太古の辻、ここから先は南奥駈道。
ひたすら黙々と歩く
笹の尾根を歩き、何度もピークを超えた。
どの山も仏教的な名前が付いている。
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巻き道は無い、忠実にピークに向かってアップダウンを繰り返した。
濡れた下り道は滑りやすくなっていて、何度か転倒しかけたが持ちこたえる。
今日の行程の丁度中ほどの涅槃岳(ねはんだけ)。
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涅槃岳を越えて進むと美しいヒメシャラ林が現れた。雨の中でもちょっとしたオアシス。絵になる光景だった。
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ここは八人山への分岐、誠証無漏岳
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仏教用語が多いこの道、ここからは4字の山が出てくる。
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阿須迦利岳を下り持経の小屋へ飛び込んだ。
5時間ぶりに雨から開放され雨宿り。こんな時でも気持ちに余裕がほしい。
暫しのコーヒータイムを取った。
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40分も休んだ後小屋を出発し、直ぐに現れたのは大木の持経千年檜。
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転法輪岳、倶利伽羅岳とあまり気が抜けないやせ尾根が続く。
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そんな時、シロヤシオやアカヤシオが心を和ませてくれた。
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雨は止まず、最後の坂を登り行仙岳。
電波もキャッチでき、心配してくれていた仲間への通信ができた。
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行仙小屋には誰もいなかったけど、1日中雨の中を歩いて来た者にとって
天国のような所だった。洋式トイレ、携帯の電源、電灯、布団などなど申し分ない。
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昨晩に続き今夜も小屋を独占。しかも昨日とは違い滅法広いのだ。
この小屋にいると、管理されている新宮やまびこGさんの気の利いた配慮を感じる。
疲れが充分取れて良く寝ることが出来、とても有り難かった。
【 5日目 5月10日 行仙小屋から玉置神社宿坊 】
行仙小屋5:30~笠捨山7:07~葛川辻7:30~地蔵岳8:15~クサリ場8:40~四阿ノ宿出合9:04~
(休憩及びロスタイム0:40)~10:18香精山10:35~岩ノ口12:18~玉置山14:30~玉置神社14:45
<18.6km-ロス1.3km=17.3km 9:20-ロス0:40=8:40分 上り累積標高差1170m>
朝、小雨が残る中、今日も雨具着用で出発。予定ではあと2日になった、終着は見えたようなものだ。
笠捨山への登りにはオレンジ色のヤマツツジやシロヤシオが迎えてくれる。
雨は止んだ模様だが全てが濡れていて雨具は離せない。
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笠捨山
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クサリや木の根を掴んで登った地蔵岳には小さな地蔵様が待っていた
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この地蔵岳を越えるには岩の痩せ尾根が難関となる。
濡れた木や不安定な足場には、綺麗に咲いているアカヤシオが目に入り、
重くなったザックも不安定になるので怖いところだ。
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濡れたクサリは滑りやすくなっていた。
このクサリ場の下りは特に慎重になった。
ストックを仕舞い、折角持参した滑り止め手袋を着けて下降した。
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地蔵岳を越えればもう安全地帯ばかり、雨は上がり気分は玉置山へ。
そんな気分が災いしたのか、暫し休憩して立ち上がり、再び歩き出したのだったが150mも登った挙句、見覚えのある所を発見。
バックしていることに気がついた。40分もロスしてしまったのだ。
気を取り直し、香精山でコーヒータイムとした。
そこからも結構長い道のりを玉置山へ向かう。
途中『世界遺産 大峯奥駈道』の大きな石標を見る。以前歩いたときには無かったはず。
それは世界遺産になる前だったのかもしれない。
もう直ぐ、もう直ぐと気を揉みながらやっと着いた玉置山。
このとき再び雨が降りだした。
今日も濡れ濡れの一日になったが、これも修行のひとつと思うことにした。
そうだ、そんなことよりもう直ぐ予約していた玉置神社の宿坊が待っているのだ。
宿坊の手続きを済ませ暖かいコタツのある部屋に案内され、一息つくことが出来た。
宿泊者は今日も自分一人だけだった。この雨続きでは来る人が居ないのも頷ける。
(注意)玉置神社の宿坊には一般の登山客は泊まれません。
山行計画書及び指定された誓約書を提出し、事前に参籠許可証を受けとった吉野からの全縦走者だけが泊まれます。
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【 6日目 5月11日 玉置神社から熊野本宮大社 】
玉置神社5:55~大森山7:33~大森山三角点7:40~切畑辻8:15~五大尊岳8:45~五大尊岳南峰9:07~金剛多和10:00
~10:17大黒天神岳10:30~吹越山11:25~七越峰12:37~本宮旧社13:40~熊野本宮大社13:50
<20.1km 7時間55分 上り累積標高差900m>
朝どっちへ行くか道標がないので、雨の中を右往左往して30分。再び神社の下に戻った。
改めて出発だ。
今日は下るだけ、調子よくドンドン下って行く。
地図をよくよく見ると、玉置山よりもっと標高が高い山に登り返しが有るのだ。
そうだな昨日までの様に行者さんの様に何も考えずに前に前に歩けば良いのだ。
そう思うとシンドさも感じ無くなった。その大森山を過ぎ、下りに差し掛かる。
雨で緩んだ急坂は滑り易く、危なくてしょうがない。無理せずゆっくりゆっくりだ。
今度は岩山の五大尊岳。ここの標高表示は825mはと記されていたがこれは間違いだろう。
その南にある南峰が標高825mの筈である。
標高は少しずつ低くなっては行くものの、見事なまでに、忠実にピークを踏みながらである。
熊野の山
大黒天神岳を下ってゆく所で熊野川が視界に入った。まだまだ下に見えるが川の色は随分濁っている様だ。
これでは歩いて渉ることはとても不可能だろう。
もっと近付いた熊野川。旧社の鳥居も見える。
そして雨は上がった
ぐるっと備崎橋を廻り熊野本宮大社の階段を登る。
全てが通ったことのある道だったが、一気の縦走は何と言っても初めての事。これは大きな財産になることと思う。
それに最近調子が悪く、出発前から懸念していた膝も腰も殆ど問題なく歩き通せたのは幸いだった。
役行者さんが守ってくれたのかもしれない。
無事の踏破のお礼のお参りを済ませて、これからの安全祈願もした。
旧社
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熊野本宮大社
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兎に角雨が多かった、まだまだ修行が足りないらしい。
やりまっせ、もっと、もっと!
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